脊髄損傷患者の介護費用の請求について

麻痺が残っている

脊髄損傷で介護を人に頼みたいのですが介護費用は? 観音寺市港町 M様

7月3-1

【質問】
交通事故で脊髄損傷を負い、胸から下に麻痺が出ています。
入院中ですが腕も動きづらい状態で、移動も車いすでないと無理です。
日常生活も誰かの手を借りないと難しいことがあるので、介護の人を雇いたいです。
介護費用の請求はできますか?

M様(観音寺市港町)


弁護士からのアドバイス

観音寺市港町のM様、ご質問ありがとうございます。

脊髄損傷は損傷した個所により障害が出る身体的な範囲が変わり、重度の場合には首から下が麻痺をすることがあります。
脊髄損傷は不可逆性の症状であるため、一度断裂した場合現在の医療技術では治療が不可能です。
そのため、介護が必要な後遺症が残ると、一生涯その状態が続くということなので、介護の問題は早期に解決しておくべき問題だと言えます。

現在入院中とのことで、交通事故の治療がまだ終わっていないものと思います。
まずは段階を分けて介護について説明していきます。

交通事故で怪我を負って、治療期間中に一時的に介護が必要となることがあります。
入院中であれば看護士による介護がありますが、手厚い介護が必要な場合には家族やヘルパーといった介護人の付添を医師から指示されることがあります。
その場合は、医師からの指示があったということで、介護人の雇用費用を交通事故の加害者側に請求することができます。
また、ヘルパーなどではなく家族が付き添った場合にも、『付添介護費』として請求することができます。

入院中の介護費用は、自賠責基準ならば4300円/日ですが、弁護士基準だとヘルパーなど職業介護人にかかる費用は実費、家族の場合には6500円前後/日となります。

通院時に家族が付き添った場合は、自賠責で2100円/日、弁護士基準で3300円/日ほどになります。

重度の脊髄損傷で日常生活でも介護が必要な場合には、自宅での介護費用として入院時と同じく自賠責基準ならば4300円/日、弁護士基準だとヘルパーなど職業介護人にかかる費用は実費、家族の場合には6500円前後/日となります。
しかし、脊髄損傷の障害の度合いによっては、日常生活の一部の介護で済む場合もあると思います。
そういった場合には、一部減額されることもあります。

ここまでが治療中の介護にかかる介護費用の説明になります。
骨折などで治療中のみ介護が必要な場合などは、ここまでの介護費用が請求できることになります。


7月3-2

では、脊髄損傷などで麻痺が後遺障害として残り、日常的に介護費用が必要となった場合にはどうなるのかと言うと、『将来介護費用』として請求ができます。
遷延性意識障害や重度の脊髄損傷で24時間の介護が必要といった場合には、家族と職業介護人の交代制で介護を行わなければいけないため、1日に2~3万円の介護費用の請求が出来る場合があります。
しかし、『入浴やトイレの介助のみ必要』・『洗濯や掃除・料理など一般的な家事のみ代行が必要』など、介護の範囲が日常生活の一部分に限定される場合には、介護費用も減額されます。

M様は現在入院中ですので、医師から介護付添人を付けるように指示があれば、介護人を雇う費用を加害者に請求することができます。
退院して自宅に帰り、通院治療中に介護人が必要との医師の診断が下りれば、介護費用を請求できます。
また、後遺障害により介護が必要となった場合、平均余命までの期間の介護費用を請求することができます。

ですが、加害者側の保険会社は介護費用の支払いを少なくしたいため、介護の必要性を否定したり、極めて限定的にしか認めなかったりします。
特に将来介護費は高額化しやすいため、認めたがらない傾向があります。
脊髄損傷患者にとって、介護費が認められるかどうかで、将来的な生活のクオリティが変わってくるため、弁護士に相談をして示談を進める方が、優位に交渉できます。

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