麻痺が残っている
事故で下半身麻痺に。自宅の改装費用は? 観音寺市本大町 I様

【質問】
半年前に交通事故に遭い、脊髄損傷を負ったために下半身麻痺の症状が出ています。
一生車いすで生活しなければいけないため、自宅の改装を考えています。
改装費用を加害者に請求することはできますか?
I様(観音寺市本大町)
弁護士からのアドバイス
観音寺市本大町のI様、ご質問ありがとうございます。
脊髄損傷などで体に麻痺が出た場合、自宅の住環境では日常生活が送りにくい、もしくは日常生活が送れないということがあります。
そのため、自宅の改装が不可欠となってくることがあるのですが、気になるのがその費用の負担は誰がするのかという点だと思います。
改装費用の負担は、基本的には交通事故の加害者がすることになります。
例えば改装費用が1000万円かかったとして、加害者の過失割合が10であれば100%負担をし、8であれば80%負担して、残りの20%は被害者側が負担することになります。
「加害者側が100%改装費用を出してくれるのならば、たくさん改装して、設備も豪華にすればいいのでは?」と思うかもしれませんが、全ての改装費用が認められるわけではありません。
『車いすが出入りしやすいように玄関と廊下を改装する』・『トイレが和式なので洋式に変更をして、壁に手すりをつける』・『入浴しやすいように浴室の壁に手すりをつけて、開閉しやすい扉に変更する』といったものは、下半身麻痺で足が不自由なのですから必要があると認められます。
しかし、『ガス湯沸かし器を電気給湯器に変更する』・『エアコンを新品にする』といった、介護や下半身麻痺に関係のない改装までは認められません。
また、『トイレを洋式トイレに改装してもいいのならば、最高級の70万するものに変えよう』とか、『手すりをつけるのならば、高級素材の物にしよう』といったものも認められません。
裁判所の判例でも、『改装が必要なものであっても、一般的な品質の物から著しく高価であるものは認めない。』としており、例えば、一般的なトイレの改装費用が30万円だった場合には、70万円をかけて改装したとしても30万円しか請求できず、差額の40万円は自己負担という形になります。

「改装が必要なのは分かっているけど、下半身麻痺で生活を送るのにどんな改装が必要で、どのくらいのランクの改装をすればいいのか分からない。」という方も多いと思います。
1番に相談すべきなのが、医師もしくは作業療法士です。
特に作業療法士は、リハビリプログラムの専門家で、日常生活においてどのような住設備が必要かを良く知っています。
そのため、「自宅の改装をしようと思っているのですが、どのようなポイントに気を付ければいいですか?」と相談すれば、様々なアドバイスがもらえると思います。
2番目に相談すべきは、弁護士です。
医者や理学療法士が改装の相談に乗ってくれて、改装のプランが決まったとします。
「自費でもいいから改装をしよう。」と言うのならば、そのまま進めても良いですが、加害者に全額請求するつもりならば要注意です。
先述したように、「不必要な改装や過度に高価な改装は、加害者と言えども改装費用を支払わなくても良い。」ということがあります。
医師や理学療法士からすれば「あると便利だから。」、「こちらのランクの方が使い道が多いから。」と、患者の快適性を優先してしまいがちで、高価な改装になる時があります。
「理学療法士がお勧めしてくれた改装内容だから、全面的に認められると思っていた。」と改装後に気付いたのでは遅すぎるからです。
特に保険会社はなるべく改装費用を払いたくないので、「トイレのグレードが高すぎる。」、「ここの手すりは不要。」と改装内容を認めたがりません。
一方で弁護士が介入している場合には、判例を熟知しているため、「このレベルのトイレの改装ならば認められる。」、「手すりに関しては、こちらは認められないが、こちらの増設は認められる。」と、事前にアドバイスがもらえるため、より実情に合った改装がしやすくなります。
また、保険会社も弁護士が介入することで、判例に則した範囲の改装までは認めざるを得なくなり、無駄な諍いを避けることができます。
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