脊髄損傷で後遺障害認定がされない理由とは

麻痺が残っている

脊髄損傷なのに自賠責の後遺障害認定が下りない場合には? さぬき市造田 H様

6月3-1

【質問】
交通事故で脊髄損傷を負い後遺症が残ったので、医師の勧めで自賠責に後遺障害認定の申し立てをしました。
しかし、後遺障害認定がされなかったのですが、この場合どうすればよいのでしょうか?

H様(さぬき市造田)


弁護士からのアドバイス

さぬき市造田のH様、ご質問ありがとうございます。

交通事故で脊髄損傷を負った場合、脊髄は不可逆性、つまり傷つくことはあっても治らない器官であるため、脊髄損傷による後遺障害が出た場合には、一生治療が不可能ということになります。
そのため、脊髄損傷による後遺障害は、程度にはよりますが自賠責保険の後遺障害等級認定の対象となりやすいと言えます。

しかし、後遺障害が現れているとしても、自賠責保険の後遺障害認定がなされないケースもあります。
自賠責保険の後遺障害等級は第1級から第14級まであり、それぞれにどのような後遺障害がどの等級で後遺障害認定されるか規定されています。
つまり、第1級から第14級の後遺障害の症状があるのならば後遺障害認定を受けられますが、当てはまらないのであれば後遺障害認定されないということになります。
さぬき市造田のH様が脊髄損傷の後遺症があるにもかかわらず、後遺障害等級の認定が受けられなかったのは、後遺症が等級に当てはまらないほどの軽いものだと判断された可能性が高いです。

もうひとつ考えられる原因は、自賠責保険に提出をした書類の内容が悪かった可能性です。
「提出した書類に不備があれば、連絡があるなり書類が返却されるなりするのでは?」と思われるかもしれませんが、単なる不備であれば受け取る側の自賠責保険から「日付が抜けているので再提出してください。」と連絡があると思います。

しかし、後遺障害等級を判断するための診断書や書類の文言の内容が悪かった場合には、「必要不可欠な最低限のことは書いてはあるが、足が麻痺していると言っても歩行が出来ないのか、単に痺れた感覚があるのか書かれていない。ならば日常生活に問題はないほどの後遺障害しかないと判断して、『後遺障害等級に該当しない』としておこう。」と判断されます。


6月3-2

実際に後遺障害がある人からすると不条理と感じるかもしれませんが、自賠責保険からすると後遺障害が無いにもかかわらず後遺障害認定をして、後遺障害慰謝料を支払う方が問題となるため、厳しい方の基準に合わせるのは仕方がないという現実があります。

では、自賠責保険に後遺障害等級認定の申し立てをしたが、後遺障害と認められなかった場合にはどうすればよいかと言うと、2つの方法があります。

1つ目は、自賠責保険の『後遺障害とは認めない』という認定を受け入れることです。
この場合、特別な手続き等は必要ありませんが、実際にはある脊髄損傷による後遺障害に対して、相手側に慰謝料を請求できないため、金銭的には大変不利となります。
しかしながら、客観的に見て『後遺症とよべるほどの症状ではない』といった場合には、こちらを選択することが多くなると思います。

2つ目は、自賠責保険に再審査の請求をすることです。
『もう一度手続きをするので、審査し直してください』ということなのですが、一筋縄ではいきません。
前回と同じ診断書と書類の内容では、前回と同じ結果しか出ないため、内容を刷新するくらいの気持ちで内容を精査して記入する必要があります。
前回の内容が明らかに悪い場合には、再審請求に対して期待が持てますが、再審請求で後遺障害認定がされる、もしくは後遺障害等級が上がるのは、再審請求のうちの約5%とかなり低い水準であるため、厳しいと言わざるを得ません。

本来ならば1度目の後遺障害等級認定で、狙った等級の後遺障害認定がされればよいのですが、そうでない場合にはかなり難しくなると考えておいた方が良いです。
後遺障害等級認定を行う際には、交通事故に詳しい弁護士に相談をして、書類作成の指南をしてもらう方が、ぐんと認定される可能性が高いため、事前に相談をしておく方が良いでしょう。

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