麻痺が残っている
脊髄損傷なのに、後遺症と認めてくれません 丸亀市富士見町 S様

【質問】
交通事故から足に麻痺の症状が出ているため精密検査を受けたところ、脊髄損傷が見つかりました。
医師からは事故による脊髄損傷との診断が下りているのですが、加害者側が足の麻痺を後遺症状として認めません。
どうすればよいでしょうか?
S様(丸亀市富士見町)
弁護士からのアドバイス
丸亀市富士見町のS様、ご質問ありがとうございます。
交通事故後、事故による脊髄損傷の後遺症と疑われる症状が出ているにもかかわらず、相手側が脊髄損傷の後遺症と認めず慰謝料を支払わないといったケースはあります。
後遺障害と認めない相手方に非があると一概には言えず、後遺障害と認められない原因には様々なケースがあります。
まず、1つ目は加害者側が損害賠償金の支払いを回避するために、後遺障害があるにもかかわらず認めないケースです。
交通事故の場合、後遺障害があるかないかというのは、自賠責保険が提出された診断書と書類で判断するのですが、自賠責保険が後遺障害認定をした場合には、その等級に応じた後遺障害慰謝料が支払われます。
保険会社が示談に関係している場合も、通常は自賠責保険が認定した後遺障害等級に応じた保険会社基準の後遺障害慰謝料を支払います。
しかし、保険会社の調査で、「後遺障害第9級と認定されているけれども、本当に後遺障害があるか疑問がある。」という場合には、不払いもしくは減額をしてくることがあります。
保険会社が後遺障害慰謝料の支払いを渋っているケースもありますが、純粋に疑問があるケースもあります。
現実的に後遺障害が無いにもかかわらず『後遺障害がある』と言ってくる者がおり、保険会社も慎重にならざるを得ない現状があります。
2つ目は、後遺障害等級が認められなかったケースです。
先述したように、交通事故で後遺障害があると認められるには、自賠責保険による後遺障害等級の認定が必要になります。
交通事故で受傷もしくは発症したもので、完治しなかったものは後遺障害と言えるのですが、全てが後遺障害とは認められません。
もし、全てを後遺障害と認めた場合には、肩などの普段見えない位置にある、よく見ないと分からない傷痕やわずかな爪の変形など、日常生活に支障がないものまで、加害者側が慰謝料を支払わなければいけなくなります。
裁判でも『日常生活に問題が無い範囲で、社会通念上許容範囲の後遺症』に対しては、過剰な慰謝料や損害賠償請求として認めていません。
つまり、後遺障害があったとしても程度が軽いものであると、後遺障害等級の認定がされないことになります。

3つ目は、2つ目と重複する内容があるのですが、後遺障害があるにもかかわらず、自賠責保険から後遺障害認定が受けられなかったケースです。
このケースの多くは書類不備です。
自賠責保険の後遺障害認定の申し立てをする際には、医師の後遺障害の診断書と書類が必要になってきます。
単純な押印抜けや日付の書き忘れであれば、自賠責保険の方から書類不備の通知があり、押印や記入をすればよいのですが、それ以外の不備であるのならば大きな問題となります。
丸亀市富士見町のS様の場合、脊髄損傷による後遺障害ですが、脊髄損傷との診断が下った元となるCTやMRIなどの画像がついていなかったらどうなるでしょうか?
脊髄損傷との診断が正しいかどうか、自賠責保険側は疑念を抱いてしまいます。
また、同じ人の脊髄損傷による後遺症を記入する欄に、『右足に麻痺があり歩行が困難』と書いてあるのと、『右足の付け根より下の全域に脊髄損傷を起因とする麻痺が認められ、患者自身の意思で筋肉の収縮が行えず、介助なしの歩行が出来ない。膝から下の筋肉が硬直状態であるため、曲げ伸ばしが困難である。そのため、杖等の歩行補助器がなければ単独で歩行することが出来ず、杖等の歩行補助器具での可能な移動は短距離に留まり、日常的には車いすを要する』と書いてあるのとでは、どちらの方が後遺障害認定を受けやすいかは火を見るより明らかです。
医師によっては交通事故による後遺障害認定の診断書を書き慣れていないこともあるので、注意が必要です。
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