後遺障害等級が認定されないケースとは?

後遺障害等級認定でお悩みの方

後遺症があれば必ず後遺障害等級の認定を受けられる? 高松市前田西町 K様

6月1-1

【質問】
交通事故で左ひざと右足首を骨折しました。
骨折は完治したものの、以前と比べて歩きづらくなる後遺症が残りました。
この場合、必ず後遺障害等級が認定されるのでしょうか?

K様(高松市前田西町)


弁護士からのアドバイス

高松市前田西町のK様、ご質問ありがとうございます。

交通事故で受傷した場合、交通事故以前の状態まで戻す義務が加害者には生じます。
そのため、加害者は被害者の怪我が完治するまでの治療費を支払う必要があります。

しかしながら、怪我が完全に治らず、医師から「これ以上治療を続けても症状が改善されない」と診断された場合には、その症状は『後遺症』と認められます。
後遺症と認められた場合には、その後遺障害の度合いによって後遺障害等級が定められ、後遺障害に対する慰謝料の額が決まります。

では、交通事故により後遺障害が残った場合には、全て後遺障害等級が認定されるかと言うとそうではありません。
後遺障害等級には、重い方から介護第1級・介護第2級、第1級~第14級があります。
後遺障害等級は医師が主観で判断するのではなく、後遺障害が残った部首や症状によって細かく規定されており、後遺障害等級表としてまとめられています。
例えば膝関節が骨折し曲げ伸ばしが出来なくなった場合は、後遺障害等級表に当てはめると第12級の『一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの』に当たります。

実際には、後遺障害等級表よりも細分化された認定基準があり、一見すると後遺障害等級表にない後遺症のため後遺障害等級が受けられないように思っても、後遺障害に認定される後遺症であるケースもあります。


6月1-2

それとは逆に後遺障害があるにもかかわらず、後遺障害等級認定が受けられないというケースもあります。
後遺障害があるにもかかわらず、後遺障害等級認定が受けられないのは不条理の様に感じるかもしれませんが、『被害者が症状を訴えれば、全て後遺症と認められる』となると、拡大解釈されて悪用されることもあるからです。

そのため、交通事故の後遺障害等級認定は『後遺障害があることよりも、後遺障害がある事で日常生活や就業に支障が出るか』ということに、やや重きを置いています。
つまり、日常生活を送り就業に支障がないという場合には、後遺症状があっても後遺障害等級の認定が認められないケースもあります。

高松市前田西町のK様の場合、左ひざと右足の骨折は完治したものの、やや歩きづらいという後遺症が残ったということですが、歩行困難がどの程度なのかにより後遺障害等級が認められるかどうかが決まります。
例えば、歩行の際に杖が欠かせないというのであれば後遺障害等級が認められる可能性が高いですが、歩く際に少し違和感を覚えるといった程度であれば、後遺障害等級が認められる可能性は低くなるということになります。

また、年齢によっては加齢による身体能力の衰えも加味されます。
20歳の男性と80歳の男性が「交通事故の後遺症で走れなくなった。」と言ったとしても、20歳男性であれば「交通事故の影響で走れなくなったのではないか?」と推測できますが、80歳男性であれば「そもそも80歳の高齢で走る事が出来たのか?」という疑問が湧いてきます。
医師から見て80歳男性が年齢相応の標準的な歩行状況であれば、医師であっても後遺症と診断を下すのは難しいでしょう。
例え医師が後遺障害と診断をしても、後遺障害等級を査定・認定する損害保険料率算出機構が後遺障害として認めないこともあります。

そのため、事前に「後遺障害が認められるのならば12級くらい。」という、おおよその目安はつけられますが、「絶対に12級が認められる。」というのは確実ではないということになります。
特に後遺障害等級の査定は、損害保険料率算出機構に提出した書類と診断書のみで決められるため、書類に不備があると圧倒的に不利となります。

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