認定前の後遺障害等級の目安について

後遺障害等級認定でお悩みの方

後遺障害等級を認定前に知る事が出来ますか? 三豊市詫間町香田 W様

7月1-1

【質問】
交通事故で左半身に麻痺が出ており、後遺障害認定を受けようと思っています。
後遺障害等級の認定前にどの等級になるか知る事は出来ますか?

W様(三豊市詫間町香田)


弁護士からのアドバイス

三豊市詫間町香田のW様、ご質問ありがとうございます。

交通事故で受傷し後遺障害が残った場合、自賠責の後遺障害認定の申し立てをして、後遺障害等級が決定します。

後遺障害等級は重い方から、介護第1級・介護第2級・第1級から第14級、該当しないの17通りあります。
それぞれ、どのような障害がどの等級になるかは公表されており、ネットでも見ることが出来るため、申請前でもおおよその判断がつく事も多いです。

しかしながら、事前に調べて思い描いていた等級で認定されないということも多くあります。
実際に、後遺障害等級の申し立てをして後遺障害等級が認定される割合は、近年では5%前後です。
また、後遺障害等級が認められなかった、もしくは後遺障害等級が思っていたものよりも低かったので、再審査の申し立てをした方の再認定率は5%ほどです。
中には「後遺障害と認めてもらえればラッキー。」といった気持ちで申請している人もいるとは思いますが、多くの人が後遺障害等級の認定がもらえないでいることが分かります。

自賠責保険が明示している後遺障害等級のそれぞれの後遺症状を見ると、同じような症状でも「著しく」、「特に」といったあいまいな表現がついていて等級が違う個所があります。
そのため、「仕事を辞めざるを得なくなって、日常生活も送りにくくなっているのだから、重い方の等級で認定されるだろう。」と思っていても、実際には軽い方の等級で認定されたり、最悪は後遺障害等級の認定が受けられないケースもあります。

なぜ、このようなことが起きるのかと言うと、複数の原因が考えられます。


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1つ目は、後遺障害の症状が後遺障害等級に当てはまらないほどの軽度である場合です。
例えば、交通事故の後に膝に違和感を覚える様になったとしても、歩いたり走ったりすることに支障が無いような場合であれば、許容範囲内の後遺症状として認定されないことがあります。
また、「交通事故後に歩きにくくなった。」といった場合、被害者が高齢であったのならば「年齢相応の加齢により、歩きづらくなるのは当然の事」と、自然な老化の範囲内とみなされて、後遺障害と認められないことがあります。

2つめは、後遺障害等級認定の審査で提出する書類に不備があったケースです。
後遺障害認定は専門機関の職員が申請書類を見て、『第7級相当』などと判断をして自賠責保険に返し、自賠責保険がその判断に沿って等級の認定をして、申請者に後遺障害等級を通知します。
職員も毎日送られてくる申請書類をじっくり見ることは出来ず、書類に記載されているポイントを押さえて読んで等級を決めています。

つまり、等級を決めるポイントとなる事が書類に書かれていなかったり、後遺障害の証拠となる裏付けのレントゲン写真などの検査結果がなかった場合には、容赦なくふるい落とされてしまうことになります。

3つ目は、少し外れるのですが後遺症状が2つ以上ある場合には併合というシステムがとられる点です。
例えば、足と腕に麻痺があった場合、足単体で見た場合第6級相当、腕単体で見た場合第6級相当の障害があった場合、「どちらも第6級相当なので6級になる」というわけではありません。
障害が複数ある方が全体で見た障害の度合いが重くなるため、併合と呼ばれる特殊なシステムがとられます。

併合の基本ルールは
13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合は、1番重い等級を1等級繰り上げ。
8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合は、1番重い等級を2等級繰り上げ。
5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合は、1番重い等級を3等級繰り上げ。
なのですが、例外も多くあり、「第7級と第9級の後遺障害があるから、第5級で認定されると思ったのに、第7級でしか認定されていない。」ということもありえます。

後遺障害認定は複雑であるため、自賠責保険から正式な認定が下りるまでは、目安ぐらいに考える方が無難です。

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