交通事故に遭った際の後遺障害認定の必要性について

後遺障害等級認定でお悩みの方

後遺障害認定を受ける必要はありますか? 丸亀市西平山町 T様

6月3-1

【質問】
追突事故に遭い、むち打ちを負いました。
半年たっても痛みが引かず、頭痛・首の筋肉の緊張があるため、医師から症状固定及び後遺障害認定をすると言われました。
後遺障害認定を受ける必要はありますか?

T様(丸亀市西平山町)


弁護士からのアドバイス

丸亀市西平山町のT様、ご質問ありがとうございます。

後遺障害等級の認定を受ける利点はなにかというご質問ですが、交通事故で受傷して治療を受けたが後遺障害が残った際に、示談金を計算する際に必ず後遺障害等級が必要となるため、自動車損害賠償責任保険から後遺障害等級の認定を受けることが不可欠になります。

交通事故の場合、加害者から被害者に対して損害賠償金及び慰謝料が支払われるのですが、一般的にはまとめて『示談金』と言われています。
交通事故の示談金ですが、年間数十万件の交通事故が起きているため、計算方法には一定の指針があります。

その中でも自動車損害賠償責任保険の基準は交通事故の示談のベースとなっており、自動車損害賠償責任保険が定める後遺障害等級は、後遺障害に関係する慰謝料を計算するうえでもっとも重要と言えます。

後遺症が残った場合には、後遺症が残ったことに対する慰謝料と逸失利益を加害者側に請求することができます。
後遺障害慰謝料というのはお分かりになると思いますが、逸失利益というのは聞きなれない言葉であるため説明しますと、『無くなってしまった(逸失)将来的な収入(利益)』のことをさします。


6月3-2

例えば、交通事故の後遺症で腕が思うように動かせなくなり、今までの仕事の7割しか出来なくなり収入も交通事故以前の7割となった場合には、逸失利益は収入の3割ということになります。
しかし、一人一人のケースに当てはめて逸失利益を計算するのは難しいため、後遺障害等級に応じて逸失利益を計算するうえで、必要な『労働能力喪失率』が後遺障害等級ごとに定められています。

先の計算で『7割しか仕事が出来なくなった』としていましたが、反対に見れば『後遺症のせいで労働能力が3割なくなった』と同意義であり、減った労働能力の事を労働能力喪失率と言います。
後遺障害等級第1級の労働能力喪失率は100%ですが、第5級で79%、第8級で45%、第14級で5%と、等級が下がるにつれ労働能力喪失率が下がっていきます。
そのため、後遺障害等級が何級であるかは逸失利益を計算するうえで、必ず必要になります。

損害賠償請求のためには、『損害賠償額が明らかになっている』必要があります。
「損害賠償額がいくらかわからないけど、とりあえず30万円を請求する。」というのは、交通事故の当事者同士が納得しているのであれば合意できますが、通常は損害が確定してからになります。
そのため、後遺障害慰謝料と逸失利益を確定するためには、後遺障害認定の必要があり、後遺障害認定の申請のためには症状固定をする必要があるということになります。

特に交通事故の示談に自動車保険会社が介入している場合には、症状固定及び後遺障害認定(もしくは後遺障害認定の却下)が決まってからでないと、示談交渉には応じません。
「後遺障害慰謝料も逸失利益もいらない。」と言うのであれば、保険会社も応じる可能性もありますが、保険会社はマニュアルというべきものがあり、例外を作らないためにも後遺障害認定後にしか示談交渉をしないからです。

ある程度示談の早期解決を望むのであれば、医師の指示通り症状固定及び後遺障害認定の手続きを取る必要があります。
しかし、後遺障害認定の手続きをしたからと言って、希望の後遺障害等級になれるとも、満足できる示談内容になるとは限りません。

手続き的な不安がある場合には、後遺障害認定の申請をする前に、弁護士に相談する方が良いでしょう。

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