後遺障害等級認定はいつ受けるのが望ましい?

後遺障害等級認定でお悩みの方

後遺障害等級認定を受けるのはいつがいいのでしょうか? 高松市浜ノ町 S様

6月5-1

【質問】
半年前に交通事故で脊椎損傷を負い、足に麻痺の症状が出ています。
現在も病院に通い治療とリハビリをしていますが、脊髄損傷は治らないため後遺障害等級認定を受けたいと思っていますが、タイミング的にはいつが良いのでしょうか?

S様(高松市浜ノ町)


弁護士からのアドバイス

高松市浜ノ町のS様、ご質問ありがとうございます。

交通事故の後遺障害等級の認定を受けるタイミングはいつが良いのかということですが、人によりベストのタイミングが違うため、いつとは一概には言えません。
しかし、後遺障害等級の認定を受けるためには必要な手続きや順番があるため、それらを理解して順を追って進めていく必要があります。

後遺障害認定を受けるためには、まず症状固定をしなければいけません。
症状固定とは、医師が『交通事故による怪我などを治療しているが、これ以上よくならないので、今ある症状に関しては治療しても治らない後遺障害として扱う』と、診断した物になります。
症状固定をすることにより、後遺障害の症状や度合いを確定することができます。

後遺障害等級認定を受けるためには、症状固定は必要不可欠なのですが、問題が無いわけではありません。
交通事故による受傷に対する治療費は、あくまで『治療をするための費用』であるため、『現状を維持するための費用』とは違います。
そのため、症状固定後に通院した費用に関しては自己負担になり、加害者に請求することはできません。

被害者からすると通院費用等が打ち切りとなるため不条理に思えるかもしれませんが、医師が症状固定にて治療をしても回復しないと診断をしているため、治療費を支払う合理的な理由がなくなるからです。
なので、治療を続けたいと希望している場合には、安易に症状固定をしてしまうと治療費が支払われなくなるため、金銭的な負担が発生することを念頭に入れておかなければなりません。


6月5-2

また、症状固定は患者が任意に行えるものではありません。
症状固定と判断をするのは医師であるため、患者が意図しないタイミングで症状固定の診断が下されることがあります。
いきなり「今日で症状固定します。」と通達する医師は少なく、「症状も安定していますので、そろそろ症状固定しましょうか?」と打診をしてくることが多いです。
患者側は「はい、症状固定します。」、「いいえ、もう少し様子を見たいです。」と希望を伝えることはできますが、あくまで希望であるため、最終的な判断は医師に委ねられます。
反対に医師から症状固定の話が全く出ず、患者の方が待っているような状態であれば、いつになるか聞いてみるのも良いでしょう。

医師から症状固定の診断が下りれば、自賠責保険に提出する後遺障害等級認定の申し立てをします。
後遺障害等級の認定は必要書類への記入のほかに、医師による診断書が必要となります。

ここで重要なのが、後遺障害認定の等級を決めるのは医師ではないということです。
医師は『○○といった後遺障害がある』との診断はしますが、『後遺障害等級10級相当の障害がある』と診断するわけではありません。
後遺障害等級は書類や医師の診断書から、自賠責保険側が判断をするため、申請時に『後遺障害等級10級くらいかな?』という判断は出来ますが、実際には10級で認定されるとは限らず、下の等級で認定をされたり、後遺障害等級の認定すらされないこともあります。

そのため、示談を急ぐあまり医師をせかして症状固定をし、後遺障害等級の認定申請をしたものの認定されず、症状固定後の通院費は自己負担で、後遺障害慰謝料も自賠責保険から支払われないと、患者からすると踏んだり蹴ったりの状況となることがあります。
少なくとも、医師から症状固定を言われるまでは、後遺障害等級認定の手続きはしなくてもよいでしょう。

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