交通事故による後遺障害を認定してもらう利点について

後遺障害等級認定でお悩みの方

後遺障害等級の認定を受けるメリットはなんでしょうか?観音寺市坂本町 I様

7月2-1

【質問】
交通事故で足に軽い麻痺が出ています。
医師から後遺障害認定の手続きをした方が良いといわれていますが、診断書代などお金がかかりますし、書類をかくのも手間です。
後遺障害認定の手続きをするメリットは、何があるのでしょうか?

I様(観音寺市坂本町)


弁護士からのアドバイス

観音寺市坂本町のI様、ご質問ありがとうございます。

交通事故の場合、一般的に『示談』と呼ばれる金銭の受け渡しがありますが、法律的に言うと『損害賠償』に当たります。
分かりやすくいうと、『交通事故で受けた損害を補償する』ということになるのですが、交通事故の場合には過失割合と後遺障害認定が大きなポイントとなってきます。

過失割合とは、『交通事故の責任がどれだけあるか?』というもので、『0:10』とか『25:75』など、左と右を足すと10もしくは100になります。
つまり、過失割合が『3:7』の場合には、「交通事故の責任は3割は自分で、7割は相手側の責任」ということになります。
そのため、仮に自分側の損害が100万円で相手側が200万円とした場合、相手方は100万円の7割の70万円をあなたに支払い、あなたは200万円の3割の60万円を相手に支払うことになります。
実際の示談では、70万円―60万円=10万円を相手から受け取る事になります。


7月2-2

損害賠償請求を行うためには、『損害賠償額の確定』が必要になってきます。
そもそも示談というのは当事者同士の合意があれば、被害者がお金を受け取らないこともできますし、加害者が10億円支払ってもいいです。
しかし、通常ならば加害者は損害を受けた金額だけを支払いたいですし、保険会社が絡んでいるならばなおさらになります。
そのため、「交通事故でどれだけの損害を受けたのか」を確定しなければ、損害賠償請求が出来ません。

物品の損害の場合には、物品の時価を調べて請求すればよいのですが、後遺症の場合は後遺障害等級の認定が必要になってきます。
「後遺障害第14級だから、自賠責基準だと後遺障害慰謝料は75万」という様に、後遺障害等級によって後遺障害慰謝料が決まってきます。
逆に言えば、いくら交通事故による後遺症があったとしても、後遺障害等級の認定を受けなければ、後遺障害があるとは認められず後遺障害慰謝料が受け取れないことになります。

また、後遺障害等級は後遺障害慰謝料のほかに、逸失利益にも関係してきます。
ここでいう逸失利益とは「後遺症によって仕事の効率が下がり、どれだけ収入が下がったか」というものになります。
後遺障害が残ったことによる仕事への影響を数値化したものを『労働能力喪失率』と言い、後遺障害等級ごとに決められており、重いもので100%、軽いもので0%です。
例えば、後遺障害等級第14級ならば5%なので、年収500万円の人ならば500万円×5%=25万円の年収が減ったと計算されます。
後遺症は一生涯続きますので、例えば47歳の人が後遺障害第14級に認定されたのならば、定年までの残りの20年間で25万円の減収があるとなるため、500万円の逸失利益が発生すると計算されます。
(逸失利益はライプニッツ係数による計算がなされるため、実際には500万円より少ない金額が支払われます。)

つまり、後遺障害認定を受けない場合、後遺障害慰謝料と逸失利益が確定しないため損害賠償の請求が出来ず、被害者側が意図的に後遺障害認定の申請をしないのであれば、後遺障害はないものとして示談をすることになりますので、被害者側にとって大変不利と言えます。

後遺障害認定の手続きが面倒と思えるのならば、弁護士に依頼をして代行をしてもらうといった方法もあるため、検討してみるとよいでしょう。

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