遷延性意識障害患者の借金はどうなりますか?

意識が戻らない場合

遷延性意識障害の夫の住宅ローンや借金はどうすれば? 観音寺市有明町 Y様

7月2-1

【質問】
夫が交通事故で遷延性意識障害となって3か月がたちます。
夫名義の住宅ローンと借金があるのですが、支払い続けるのが厳しいです。
なにか法的な手助けは無いでしょうか?

Y様(観音寺市有明町)


弁護士からのアドバイス

観音寺市有明町のY様、ご質問ありがとうございます。

交通事故で遷延性意識障害となられた方の、性別や年齢・職業は様々ですので、中には住宅ローンを抱えていたり、借金があったりする方もいます。

住宅ローンの場合は、住宅ローンの特約や連帯保証人によって対応が変わってきます。
最近では住宅ローンの特約に『ガンなどの3大疾病を患った場合には、以降の住宅ローンの支払いを免除します』といったものもあるので、まずは特約が付いていないか確認をして、遷延性意識障害の場合に支払い免除の項目があるのならば、申請をしましょう。

次に連帯保証人が団信の場合です。
団信とは、『団体信用生命保険』の略で、住宅ローン契約時に加入する保険です。
保険の内容は、住宅ローン名義の契約者が死亡または高度障害状態になった場合、それ以降の住宅ローンの支払いが免除されます。
遷延性意識障害は高度障害状態に当たるため、手続きをすれば住宅ローンの支払いは免れます。

連帯保証人が団信ではなく、親族や友人といった第三者の場合は、銀行によって対応が変わってきます。
『住宅ローンの残債の一括返済』、『別の名義(配偶者など)でローンを組み直す』、『連帯保証人が債務者となって、新たに連帯保証人を立てる』、『遷延性意識障害患者の預貯金が潤沢にあったり、株式や不動産による不労収入がある場合には、そのまま返済を続ける』と、ケースバイケースです。
加害者からの示談金で住宅ローンの返済の目途がつきそうであるのならば、その点を銀行に伝えて住宅ローンの軽減や一時的なストップを話し合ってもよいでしょう。


7月2-2

借金の場合も借入した金融会社によって対応が変わってきます。
通常の消費者金融や銀行のカードローンは連帯保証人がおらず、債務者が死亡した場合は相続人が借金を相続することになります。
しかし、遷延性意識障害患者の場合は、支払い能力がなくなるだけで、債務がなくなるわけではありません。

住宅ローンと同じく、借り入れ契約の中に高度障害状態に関する文言があり、『高度障害状態となった場合には、支払いを免除する』となっていれば、申請をすれば以降の返済はなくなります。
また、患者自身に清算できるだけの預貯金があったり、返済を継続できる目途があるならば、一括返済や返済の継続といった措置がとられます。

どちらにしても、遷延性意識障害の状態が続くのであれば、成年後見人を立てて、患者の代わりに財産管理をしなければいけないので、住宅ローンや借金返済問題は不可避と言えます。

また、『遷延性意識障害は高度障害状態なので減免対象』という場合でも、遷延性意識障害と診断されるには、特定の症状が3か月以上続くことが条件であるため、早くても交通事故から3か月がたたないと診断がおりません。
金融機関によっては、遷延性意識障害との診断書が下りれば対処してくれる所もあれば、症状固定が済んだ後の診断書でなければならなかったり、成年後見人からの申請でないと受け付けなかったりすることもあります。

他にも、減免手続きをした時から免除されるケースと、診断が下りた日を起算日とするケースもあり、対応がバラバラであることも要注意です。
診断が下りた日を起算日としてくれるのならば、多少手続きが遅れたとして、一時的には支払わなければいけませんが、最終的には支払った分は戻ってきます。
しかし、申請日を起算とするのならば、遅くなればなるほど支払いを続けなければならず、負担が増えることになります。

まずは、各金融機関に契約がどうなっているか確認をした方が良いでしょう。

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