意識が戻らない場合
交通事故で父が意識不明ですがするべきことは? 丸亀市土居町 O様

【質問】
父が交通事故で意識不明の重体です。
2週間たっても意識が戻らないでいるため、医師からは一生意識が戻らない可能性があると言われています。
この場合するべきことはありますか?
O様(丸亀市土居町)
弁護士からのアドバイス
丸亀市土居町のO様、ご質問ありがとうございます。
病気で意識不明の重体となった場合と、交通事故で意識不明の重体となった場合では、交通事故の方がはるかにするべきことが多くなります。
意識不明になられた患者の容態が気がかりであるのには変わりませんが、交通事故が絡んでいる場合には事故処理の手続きが多くあるからです。
交通事故の当事者の一方が意識不明の場合、事情聴取は一方からしか出来ないということになります。
ドライブレコーダーや防犯カメラ・目撃証言などで交通事故の状況が正確にわかっていればよいのですが、そういったものが無い場合には当事者の証言が重視されます。
例えば、本当は赤信号で侵入してきた加害者が、「自分の方は青信号だったのに、信号無視をした相手が交差点に進入してきた。」と証言すれば、意識不明の被害者の方は反論するすべがないため、一方的に悪くされてしまうこともあります。
被害者家族が警察などから事故の詳しい状況が聞けるのは、調書を終えて裁判所に書類送検をされてからということが多く、家族が加害者の言い分に対して反論したくともすでに裁判が結審していることもあります。
その後、加害者の保険会社から「警察の調べでもそちらが悪いと分かっています。意識不明の重体とはいえ、過失割合がそちらの方が多いので、3割しか支払いません。」と言われ、泣く泣く低い示談金で示談を終えてしまうケースがあります。

そのため、交通事故で意識不明となった患者の家族は、事故の調査に早急にかかるべきです。
時間が経過すればするほど、目撃者の記憶はあいまいになっていきますし、防犯カメラなどの画像は上書きされ、路上にある証拠はなくなっていきます。
先述したように第3者の目撃証言やビデオ画像があればよいのですが、そう言った物が無い場合、弁護士に相談をして事故調査を含めた示談をお願いすると良いです。
「警察が調査した後で、事故から1カ月も経っているのならば、証拠なんてないのでは?」と思われるかもしれませんが、事故調査会社と連携して調査する弁護士であれば違います。
事故があった車両の損傷状態を調査して、「加害者の証言通りであると、科学的に車両の損傷状態とは矛盾しており、加害者の車両の方が速度が超過していた。」との事実が分かったりします。
他にも一例ですが、「交通事故の1つ手前の交差点にあるコンビニの防犯カメラに、事故を起こした車両が道を通過する様子が映し出されたが、信号の周期的に次の交差点の信号が青信号となっていることはない。つまり、相手の青信号で交差点に進入したとの証言は、はなはだ疑わしい。」との調査報告が出され、それが認められたケースもあります。
最近のケースでは、『車とバイクの交通事故でバイクの運転手が死亡。警察の調査では自動車の運転手は青信号で交差点に進入したとされていましたが、遺族の調査で半年以上たってからドライブレコーダーのデータを持った目撃者が現れ、バイクの運転手の汚名はそそがれ、自動車の運転手には厳罰が下された』という判例もあるため、交通事故の状況に少しでも疑問がある場合には、弁護士に相談をしてみましょう。
「意識不明ではあるが、事故の状況などはドライブレコーダーや目撃者がいるので争うこともないので、弁護士に依頼することもないのでは?」というケースもあると思います。
そのような場合でも、示談交渉となった際に当事者である患者が意識を取り戻し、自身で示談に当たれるまで回復していればよいですが、意識不明の場合には法的な手段を踏んで代理人がしなければなりません。
そのため、早期に弁護士に依頼をしている方が、示談的には有利に働きます。
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