意識が戻らない場合
遷延性意識障害と植物状態の違いは? 高松市築地町 A様

【質問】
父が交通事故で頭に受傷をし、医師から遷延性意識障害となる可能性が高いと言われました。
遷延性意識障害という言葉を初めて聞いたのですが、植物状態とはまた違うのでしょうか?
A様(高松市築地町)
弁護士からのアドバイス
高松市築地町のA様、ご質問ありがとうございます。
一昔前のドラマなどでは昏睡状態に陥って長期に目が覚めない状態を、『植物状態』もしくは『植物人間』ということが多かったのですが、現在では『遷延性意識障害』もしくは『遷延性意識障害患者』と言います。
もともと植物状態と言われるようになったのは、英語の『persistent vegetative state』、直訳すると『持続する植物のような様子』から来たものです。
そのため、質問にお答えすると『遷延性意識障害と植物状態は同意義語』です。
遷延性意識障害と言うと、『眠り続けていて反応が無く、起こしても目覚めない』と考える人が多いと思います。
実際には当たらずとも遠からずなのですが、医学的には遷延性意識障害と判断をする基準があります。
日本脳神経外科学会による遷延性意識障害の定義では、
1.自力移動が不可能である。
2.自力摂食が不可能である。
3.糞・尿失禁がある。
4.声を出しても意味のある発語が全く不可能である。
5.簡単な命令には辛うじて応じることもできるが、ほとんど意思疎通は不可能である。
6.眼球は動いていても認識することはできない。
上記の6つの症状が治療をしているにもかかわらず3か月以上継続していることが条件となっています。
反対に読み解くと『1つの項目でも満たさなければ遷延性意識障害ではない。また、3か月経っていない場合には正式に遷延性意識障害と認められない』ということになります。
高松市築地町のA様が医師から遷延性意識障害となる可能性が高いと言われたのも、交通事故から3か月がたっていないため、『可能性が高い』という表現になったのだと思われます。

実際、交通事故で頭に受傷をして脳に何らかのダメージがあった場合、長期に昏睡状態となることがあります。
そのまま意識を取り戻さず遷延性意識障害と診断されたり、時として亡くなられるケースもありますが、1か月を超えて昏睡状態であったが意識を取り戻し、社会生活に復帰されたケースもあるため、判断するには時期尚早であるとも言えます。
とはいえ、家族による遷延性意識障害患者の介護は不可欠である上に、交通事故の処理や加害者との話し合い・今後の治療方針・経済的な問題など、山積みの問題に直面することは想像に難くありません。
知識も経験もなく遷延性意識障害や交通事故と向き合わなければいけないということは、とてつもないプレッシャーとストレスがかかってくるため、早急に弁護士に相談されることをお勧めします。
交通事故に詳しい弁護士であれば、交通事故の被害者が遷延性意識障害となった案件を何件も経験済みであるため、より遷延性意識障害患者家族に寄り添ったアドバイスが出来る上に、交通事故の示談だけでなく、治療方針や将来的な介護に対してもアドバイスがもらえます。
特に、患者が遷延性意識障害となった場合には、患者が亡くなるまでの長期介護の必要性が発生し、その費用や介護方法に関して様々な問題が出てきます。
しかし、そういったことも交通事故に精通した弁護士ならば、患者家族にあった介護プランを考え、それにかかる将来的な介護費用を加害者側に請求するため、金銭的な不安を減らし介護に専念できるようになります。
「弁護士の費用が不安だ。」、「ちゃんと交通事故に詳しい弁護士に頼みたい。」といった場合には、まずは無料相談を利用することをお勧めします。
多くの弁護士事務所では交通事故に関する相談は初回無料のところが多いので、何件か相談をしてみるとよいでしょう。
その際に弁護士費用がどのくらいになるか聞く事はもとより、「この弁護士は知識が豊富そう。」、「この弁護士は話をよく聞いてくれるので、話しやすい。」など、自分にあった弁護士に依頼するとよいでしょう。
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