死亡事故の示談金額、その内訳や相場はどのくらい?

死亡事故について

死亡事故の示談金額はどう決めるのか? 東かがわ市入野山 T様

6月1-1

【質問】
夫が自動車事故で亡くなりました。
相手側の保険会社から夫の死亡事故の示談金額の提示があったのですが、金額が妥当なものかわかりません。
示談金額はどのように決めればよいのでしょうか?

T様(東かがわ市入野山)


弁護士からのアドバイス

東かがわ市入野山のT様、ご質問ありがとうございます。

交通事故で加害者から被害者に支払われる金銭は一般的には示談金と言われますが、正確には違います。
死亡事故の場合、加害者に対して死亡慰謝料や逸失利益など様々な請求項目があり、相手方との示談により交渉が成立して支払われるため、まとめて『示談金』と言われています。

そのため、『死亡事故であれば一律3000万円』、『60歳男性なら4000万円』と決まっているのではなく、被害者の年齢や家族構成、収入などにより大きく変動をします。

死亡事故の場合、相手方に請求できる主なものとしては、『逸失利益』、『被害者への死亡慰謝料』、『遺族に対する慰謝料』の3つになります。

逸失利益とは、死亡事故の被害者が亡くならなければ得られていたであろう収入(利益)をさします。
会社員であれば会社からの給与、自営業者であれば営業収入がそれに当たります。
ここで問題となるのが何歳までの収入を逸失利益とするのかという点です。
通常ならば定年を少し超えた67歳までの収入を考えるのですが、被害者が66歳であれば1年分しかありませんし、67歳を超えていれば逸失利益はないとなってしまうため、合理的ではありません。

そのため、年齢ごとの就労可能年数とそれに基づいた逸失利益の速算係数の『ライプニッツ係数』の一覧があります。
40歳であれば就労可能年数は27年でライプニッツ係数は18.327、67歳であれば9年でライプニッツ係数は7.786になります。
例えば、死亡事故の被害者が年収500万円の40歳男性の場合、500万円×18.327=9163.5万円が逸失利益の計算の基礎となります。


6月1-2

死亡事故の場合、さらにここから生活費控除がなされます。
生活費控除とは『被害者が生存していた場合に、被害者の生活のために使われた費用を差し引く』というものです。
簡単に例えると「年収500万円でも、そのうちの175万円は被害者が衣食住で消費していたので、その分まで遺族に補償する必要はないので差し引く」といった感じになります。
生活費控除は家族構成や性別などで大きく変わり、自賠責の基準では扶養者がいない場合には50%、扶養家族がいる場合には35%とされています。
年金受給者の場合にはさらに大きな割合の生活費控除が科せられる可能性もあり、単純計算できないケースもあります。

死亡慰謝料は、『死亡事故の被害者に対する慰謝料』です。
本来ならば被害者に支払われるべきものなのですが、死亡しているため法定相続人が権利を有します。
死亡慰謝料は自賠責基準では一律400万円ですが、裁判所基準では被害者の年齢や家族構成により変わってきます。
収入の主柱である場合には2800万円、配偶者の場合は2500万円、その他である場合は2000~2500万円が相場です。
加害者が飲酒運転やひき逃げなど悪質な場合には、死亡慰謝料を増額して請求することも検討されるため、弁護士に依頼した場合、死亡事故の内容によって死亡慰謝料の請求額が大きく変わる可能性があります。

『遺族に対する慰謝料』は遺族が固有で持つ慰謝料請求権です。
被害者の父母・配偶者・子が保持しているのですが、自賠責基準では一人一人に対しての金額ではなく、1人なら500万円、2人なら650万円、3人ならば750万円、さらに被害者に被扶養者がいるときには200万円の追加となっています。

示談金額はこれらを合計した物となるため、正確な示談金額を知りたい場合には、弁護士に計算をしてもらうことをお勧めいたします。

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