家族が死亡事故に遭ったが相続放棄をしたい場合には

死亡事故について

絶縁状態の父の死亡事故。相続放棄したい 丸亀市本島町 T様

7月3-1

【質問】
家を出てから30年以上絶縁状態であった父が交通死亡事故で亡くなりました。
母はすでに亡くなっているため、相続人は私一人です。
出来るだけ関わりあいたくないのですが、どうすればよいのでしょうか?

T様(丸亀市本島町)


弁護士からのアドバイス

丸亀市本島町のT様、ご質問ありがとうございます。

現在の法律では親子間での絶縁は出来ないため、30年以上親子の関わりが無いとしても、法的な権利や義務があります。
しかし、相続権の放棄をすることで、ある程度の権利や義務から免れることができます。

死亡事故による相続放棄をする場合には、死亡したことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所に必要書類を添えて相続放棄の申述書を提出しなければいけません。
その後、家庭裁判所より『照会書」という書類が送付されてきますので、それに回答をして家庭裁判所に返送します。
家庭裁判所が相続放棄を許可すれば、『相続放棄申述受理通知書』が郵送されてくるので、相続放棄が完了したことになります。

「父親とは関わり合いになりたくないので、相続放棄をすれば一切関わらなくて済む。」と思われがちですが、実際には相続放棄するまでに様々な手続きや書類が必要となるのが分かると思います。


7月3-2

子が相続放棄した場合には、故人の親・兄弟・甥姪に相続権が移るため、相続権が来た親族に迷惑がかかる可能性があります。
死亡届や年金・健康保険・銀行等の手続きや、故人が賃貸住宅に住んでいた場合には、亡くなったことにより退去を求められるので、他の親戚からすると「子がいるにもかかわらず、なぜこんな面倒なことをしなければいけないのか?」と思われる方も多く、負担が大きいと言えます。

家庭裁判所も『負債が無く、貯金や死亡事故の示談金で財産がある。子が相続放棄をしてしまうと、死亡後の手続きに大きな支障があるので、相続放棄は認めない』と判断をするかもしれません。

こういった場合、一番良いのが弁護士にまとめて依頼をする方法です。
弁護士に相談をして、死亡事故の示談と相続の依頼をし、その際に、死亡による手続きなども弁護士に一任します。
賃貸住宅からの退去などがあった場合には、弁護士から専門業者に依頼して処理してもらえばよいです。
弁護士にかかる費用や、退去・その他の費用は遺産や示談金で清算するようにすれば、実質的なT様の金銭的な負担はなしで『T様名義で父の死亡の後始末』が行えるため、問題が一番少なくて済みます。
T様の父の遺産や死亡事故の状況が分かりかねますが、故人に借金や死亡事故時の大きな過失がない限りは、死亡事故の示談金で賄える範囲だと思われます。

弁護士を勧めるもう一つのポイントとしては、30年以上絶縁をしていたという点です。
30年以上交流がなかったということは、父が借金をしていたり、反対にどこに預貯金があるか分からないと思います。
現代ではネット銀行やネット証券で通帳や証券がペーパーレスになっていたり、保険に加入していてもネットで締結していることもあります。
反対に消費者金融からの借金もネットでしている可能性があるため、「遺品整理時に年金の出し入れのある通帳しか見つからず、借金はないと思っていたら、スマホを使って借入をしていた。」ということはあり得ます。

金融機関に照会をかけるのは、個人では個人情報保護法の点で難しく、遺族であっても戸籍謄本の提示などが求められるため、手続きが複雑です。
しかし弁護士であれば法的な手続きに則って調査を行いますし、また調査に慣れているため預貯金や借金を漏れなく調べることができます。
万が一、死亡事故の示談金を上回るような借金がある場合には、速やかに相続放棄の手続きを取る必要があるため、弁護士の力を借りる方が安全と言えます。

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