死亡事故について
夫の死亡事故の示談を兄から変われる? 高松市塩江町安原下 O様

【質問】
夫が自動車事故で亡くなったのですが、相手の保険会社との交渉を兄がしています。
死亡事故直後はあわただしく、気持ちに余裕もなかったのですが、今は子どもの支えもあって自分で示談をしたいと思っています。
いまからでも、兄から変わってもらうことはできますか?
O様(高松市塩江町安原下)
弁護士からのアドバイス
高松市塩江町安原下のO様、ご質問ありがとうございます。
家族の死亡事故で精神的なダメージを負い、加害者側との交渉が出来ないということはよくあります。
遺族の心情を考えれば当然のことで、保険会社も死亡事故からすぐではなく、遺族が落ち着くことが多い四十九日をすぎてから、遺族に連絡してくることが多いです。
しかし、四十九日を過ぎたからと言って遺族の心の傷が癒えるとは限らず、加害者側との話し合いを負担と感じることがあります。
O様の場合も、死亡事故直後は精神的にも時間的にも余裕が無く、兄に加害者の保険会社との交渉を任せたということですが、O様自身で示談をすることはできます。
死亡事故の示談交渉権は法定相続人が有します。
O様ですと、配偶者であるO様と子どもになります。
亡くなった夫からするとO様の兄は姻族に当たりますが、相続人には含まれないので、そもそも示談をする権利を有していません。
あくまでO様の代理という形で保険会社と交渉をしているので、O様本人が示談交渉を行うのが正常と言えます。
「実の兄だから任せておいてもいいのでは?」と思うかもしれませんが、いくつか問題があります。

1つめは、兄が示談の代理をする際には、報酬の授受があってはいけない点です。
報酬を受け取って示談をしてよいのは、弁護士などの職業に限られています。
兄だからと言って、「10万円の礼金を渡す。」、「謝礼代わりに所有していた自動車を譲渡する。」というのも、法律違反に当たります。
2つめは、O様の意見が兄にきちんと伝わらない可能性です。
例えばO様が「死亡事故のことを思い出したくないので、早目に示談を済ませたい。」と言っても、兄が「粘れば示談金が増えるから、自分に任せておけばいいんだ。」という風に意見が割れた場合、当事者の意に反した示談がすすめられてしまう可能性があります。
特に今回はO様だけではなく、子どもも示談交渉権を有しているため、O様・子ども・兄の三者間で意見の相違があった場合、収拾がつかなくなる可能性もあるため、部外者である兄を代理人にするのはお勧めできません。
3つめは、可能性は低いかもしれませんが、兄が示談金を横領してしまう可能性があるということです。
今回に限らず、死亡事故で相続人が複数いる場合には、保険会社は示談交渉の窓口となる相続人の代表者を決めるように言ってきます。
示談が終わった際に、示談金は代表者が指定する銀行口座に振り込まれます。
ここで事前に相続人同士が話し合った割合で分配されればよいのですが、兄が示談金額を低く偽ったり、渡さないといったことが起きた場合、大きな問題となります。
しかも、保険会社側は「遺族全員が代表者に代理権を与えたのだから、支払った後に問題が起きても遺族間の問題で、会社側には責任が無い。」と法的な根拠に基づいた反論をしてきますので、騙された遺族側は代表者に返すように訴えるしかありません。
「自分で示談交渉するから。」と兄に伝えてしまうと、「自分の兄を信じられないのか?」ともめごとになってしまう可能性があるため、伝え方は慎重に考えた方が良いと思います。
そういった点からも、弁護士に相談をして任せるのが良いのではないかと思います。
弁護士ならば一般人が交渉するよりも示談金額が上がりますし、兄に対しても「専門家の弁護士に任せた方がいいし、兄の負担もなくなると思ったから、もう依頼した。」と言ってしまえば納得しやすいですし、万が一兄が保険会社に直接連絡をしても、保険会社も弁護士を無視して示談交渉することはありませんし、弁護士がストップをかけてくれるため安心できます。
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